すべてのことを許せたなら

ー37歳、独身、会社員。いろいろと考えるー

思い通りにはいかない世界で|小金井市 アイドル 刺傷

東京都小金井市のイベント会場でアイドルの冨田真由さんが、ファンの男にナイフで刺されたという痛ましい事件をニュースで知る。

「たったプレゼントを返却されたくらいで」というのが、最初の私の素直な感想だった。アイドルという幻想に何を抱いていたのか、何を期待していたのだろうかと思っていたが、逮捕された岩埼容疑者が書いたとされるブログを読んで、暗澹たる気持ちになった。

「惨めさの中で世界を笑う」と題されたそのブログから一部を抜粋する。

冷めやすい。醒めやすい。
夢も希望もない。
惰性で、仕方なく、していたようなもんだけど、もうそれすらあきらめました。
頑張れないよねー
自分が楽しければ、それでいいのなら、いくらでも頑張れるんだけど、それじゃダメな仕事で社会に属しちまってる。
頑張るって、我慢するってこと。
忍耐力ないなー
厭なことからは逃げたいよ
全部失っても逃げたいよ
どうでもいい人生
クソったれな人生
惨めなだけの人生
もう怒りでしか動けそうにない

幸せとは心の状態
俺は心が死んでいるから幸せにはなれない。
いや違う。
堕落することが幸せならば、俺は幸せだ。

この先
何を手に入れたいのか分からない
どうしたいのか分からない
年老いて
病気にかかり
身体が不自由になり
生きることが今以上につらくなる事は目に見えている
苦しいだけの人生
何がしあわせだ?

ブログのタイトルからして既に悲観的だが、彼の書いた文章には、ひどく厭世的な言葉が目立つ。ニュースで知る限りのこと以上はわからないが、おそらく彼の人生のいろんなことが、彼の思い通りにはいかなかったのではないか。そうした閉塞感や絶望感が下地にあったのだろうということが、彼の書いた文章から見て取れる。それが偏愛と憎悪に転化されて、冨田さんへ矛先が向かったのではないか。だとしても、それが身勝手極まりない行為なのに変わりはないが、彼の人生が彼にとってもうすこしうまくいっていたら、こんな悲劇は起きなかったのではないかと考えてしまう。

幸せであるとか幸せでないとか、人生の意味や価値はそんなことで決定されるものではないだろう。クソみたいで惨めで夢も希望もなくても、年老いて病気に罹って身体が不自由になろうとも、それが例え苦しいだけの人生であったとしても、幸せであるとか幸せでないとかは関係なしに、私たちはその生ががある限り生きていかねばならぬのだ。

負傷された冨田さんの回復を心よりお祈りします。